横正機業場 “織りなす技。紡ぎ出す美。”
120年にわたって絹織物を作り続けてきた老舗・横正機業場のブランディング映像です。伝えたいメッセージを整理して2本の映像を制作。BGMや編集の仕方を変えて、多面的に魅力を発信できる映像を目指しました。
01 Planning
広く、深く、思いを届けるために
京都の丹後、滋賀の長浜と並び、日本三大白生地産地の一つに数えられる新潟県の五泉市。株式会社横正機業場は、この地で120年以上にわたり絹織物を生産する老舗企業です。同社は着物や法衣の素材となる白生地を織るだけでなく、「絽紗(ろしゃ)」や「しろずきんちゃん」などのファクトリーブランドを展開。染職人やデザイナーとタッグを組み、絹織物の新たな可能性を探求しています。「絽紗」の立ち上げ当初にお手伝いしたご縁から、今回リクルートのために映像を作りたいとご相談いただきました。
映像制作の目的は二つ。次世代に広く情報を届けることと、関心のある層に向けてより深く歴史や思いを知ってもらうこと。そこで、同社のブレインである横野兄弟が強みや技術力を語るブランドムービーと、ナビゲーターが工場見学をしながら職人に思いを聞くリクルートムービーを提案。「人」に焦点を当てつつ、当社の歴史や細やかな技術力に加え、製造の楽しさ、職場の明るい雰囲気など、多面的に魅力が伝わる映像を目指します。
02 Making
「ボケ」の活用で逆説的に印象を強める
入念な事前打ち合わせとロケハンのもと、臨場感を出すために普段通り機械が稼働する工場内での撮影を実施。機械音に声がかき消されないよう、当日はピンマイクを仕込んで挑みました。
撮影でこだわったのは、画角の広さとボケ感の演出です。まず、普段はなかなか見る機会のない織機の大きさやダイナミックな動きを届けるために、広範囲を見せることを意識しました。一方で被写界深度を浅く設定し、注目してもらいたい部分以外をぼかす撮り方を採用。意図的に具体度を下げ、情緒的な映像に仕上げました。ターゲットである若者世代への訴求力を高めると共に、ボケた部分に想像する余白を作る。逆説的に印象に残す効果を狙っています。
03 Response
メッセージに合わせた選曲でイメージを補強
映像を見比べると印象の違いに驚かれるかもしれませんが、それぞれの映像が届けたいメッセージに合わせたBGMと編集になっています。ブランドムービーは、絹織物の繊細さや歴史の厚みを伝えたくて厳かな曲をチョイス。思いを語る横野兄弟の印象を強めるため、2人以外には人物の顔を映さないよう配慮しながら編集しました。反対にリクルートムービーは明るい曲調をセレクトして親しみやすさを演出。職人さんの顔や手元がよく分かるようなカットを選んでいます。
専務取締役の横野弘征さんからは、「自分たちが登場するコンテンツを制作したのは初めて。恥ずかしさもありますが、映像で思いを残せて良かったです。私たちのことを深く知ってもらった上で、一緒に働きたいと思ってくれる人が増えていけばうれしいです」と、喜びの感想をいただきました。完成した動画は、同社のWEBサイトリニューアルに合わせて公開予定です。
04 Web Site
●横正機業場|公式サイト
https://yokosho.co.jp/