UTOPIA “糸は人の創造を紡ぎあげる”
新潟を拠点に活動するファッションブランド「UTOPIA(ユートピア)」のプロモーション動画。「ブランドやショーは、デザイナー1人で作るものではない」というクライアントの強い思いを映像化しています。目指したのは、UTOPIAを初めて知る人がブランドの世界観に触れる「扉」となる動画です。
01 Planning
デザイナーの言葉からコンセプトを立案
UTOPIAは、デザイナーの佐藤悠人さんが2017年に設立した服飾ブランドです。流行り廃りの激しい「消費される」ファッションに疑問を持った佐藤さんが目指すのは、人々の感性を刺激し「記憶に留まる」ブランド。2021年春、「ファッションショーの仲間を募集します!」というSNSの投稿をMADが見つけ、動画制作で力になれたらと名乗りをあげました。佐藤さんによると、これまで数回開催したショーの動画記録は残っていないとのこと。ブランドの認知度アップもこれからの段階。そこでUTOPIAをまだ知らない人にも見てもらえる「ブランドの名刺となるような動画」という方向性を考えました。ディレクターを中心に検討を重ね、たどり着いたコンセプトは〈クリエイターたちが集まって創り上げる世界〉。佐藤さんの「自分の考えに共感して参加してくれる仲間がいるから、ショーが成り立つ」との言葉からの着想でした。佐藤さんからも「伝えたい想いはそれです!」と強く賛同していただきました。
02 Making
一般的なショーとの違いを強調した構成
動画は、アトリエの風景とショー本番のシーンを織り交ぜ構成。ファッションブランドの動画といえば、ショーの華やかな表舞台を打ち出すのが一般的です。しかし今回はコンセプトに合わせ、ヘアメイクや照明、音響など舞台裏で活躍するメンバーにもフォーカスしています。ショーの撮影は一発勝負。狙ったカットを確実に押さえるため、コンテの精度を上げ、入念なリハーサルを行い撮影に臨みました。アトリエのシーンにもこだわりがあります。「一人では表現できない」と葛藤する佐藤さんが、クシャクシャに丸める1枚の紙。白い紙を紅茶で染めることで、動画の世界観に合わせました。たった1人でアトリエにいる佐藤さんを描いた序盤。そして人とつながることで生まれた、創造のエネルギーに満ちあふれるファッションショー。そんなメリハリのある展開もポイントです。
03 Response
現場に入り込み、より熱量の高い動画制作を
実は今回のショーでは、MADのディレクターがモデルも務めています。「クライアントの中にもっと入り込んだ動画制作」をしていきたいと考えていたMADにとって、今回のオファーは願ってもないチャンスでした。モデルとしてもプロジェクトに参加し、UTOPIAのクリエイティブな世界に深く入り込む貴重な経験となりました。動画は短く約1分に編集。ブランドの背景にはもっと深い物語が存在するのですが、今回はUTOPIAを初めて知る人が主要ターゲット。SNSで発信しやすい尺にまとめ、ブランドの想いをメッセージするコピーを添えています。ショーの圧倒的な空気感で興味を持ってもらい、SNSやWEBサイトへのアクションを促す狙いです。今回の動画をきっかけに、ぜひ多くの人にUTOPIAの世界に触れてほしいと思います。